「どこの席でもいいって。どこがいい?」
『どこでも良いけど、静かなところがいいな。』
・・・そうBijouxは言った。
そこは、イタリアにある私達のお気に入りのミディテラニアン料理のお店。
私の出張中にBijouxが、イタリアに訪ねてきた時は毎回行っている。
緑のあるテラスにキャンドルのランタン。
美味しい料理、適度なロマンティックさ・・・そして今どきっぽさが気に入っている。
ワインを頼みグラスを傾けたとき、Bijouxは言った。
『これから・・・2人で色々な新しいことを経験していこう。』
短い言葉だけれど、私は何だか感激した。
2本目のワインで乾杯するときも又同じ言葉を言った。
もしかして、彼なりに言おうと思って考えてきたのかな・・・と思うと嬉しくなった。
「時差もあるし眠いでしょ。大丈夫?」
『うん。実はここに来るのに4回も乗り継いだんだけど、フライトで全然眠れなかったから今も
し寝たらもう絶対に起きれないと思う。』
Bijouxは笑った。
知らなかった。
Bijouxが4回も乗り継いで・・・やっとここまで到着したなんて申し訳なさと感謝の気持ちで
いっぱいだった。
心をこめて言った。
「来てくれてありがとう。
少ししか一緒にいれないのに、時間かけてきてくれて本当にありがとう。
ごめんね。」
『どんなに時間がかかっても、僕にとって今ここにいることは”メイクセンス” だよ。
今この場所で君と過ごしていること、全て僕の期待通り。
ここにいてくれてありがとう。』
この言葉で私は、Bijoux を又・・・大切にしようと思った。
結局イタリアで一緒に過ごした時間は12時間。
今私は東京。
Bijouxのフライトは、私の便より2時間後だった。
でも、度重なる乗り継ぎで日本への到着は私よりかなり遅い。
まだ彼は飛行機の中。
疲れているはずなのに・・・ごめんね。