「もしもし?」
電話を受けたとき、丁度眠りかけたところだった。
『あ、僕だけど。』
あ、Bijouxだ。
この間、彼は階段ですべって頭を打った。
前、交通事故で頭の手術をしていたせいなのか、ただ打ち所も悪かったのかは分からないけど最近調子が悪い。 久しぶりの連絡だった。
「元気?・・・頭は大丈夫?」
『頭は割れるように痛い。でも仕事は僕しか分からないことばかりだから仕事してる。
今日なんて、休日でみんな休みだけど僕だけ仕事場に来たよ。
このプロジェクトは難しいケースだから120%の力でやらなくてはいけないのに、体のパワーは40-70%しか出ていない感じ。
・・・ごめん。グチになった。
君はどう?元気?』
「・・・私?・・・・・・病気ではない。かな。」
ちょっと小さい声で言った。
Bijouxは、ふふと笑った。
笑ってくれたことが、何かちょっと嬉しくなった。
病院に行ったら、この間の後遺症が出ているようで・・・。
新たに記憶の一部をなくした可能性があるということだった。
そして治るには時間がかかるといわれたらしい。
『もし僕が同じこととか変なことを聞いたらごめんね。それが原因だから許して。』
それを聞いて、聞くのが怖かったけど今度こそ勇気を出して聞いてみることにした。
電話がかかってきたのが久しぶりだったし・・・もしかして本当に私との記憶がなくなっている可能性もあるのかも。と思った。
「私のことは分かる?」
『当然、分かりますよ。』
微笑がこぼれそうな、優しい声だった。
『頭も痛いし体調も悪いけど、ベットで寝ているだけじゃないんですよ。
前に向かって色々やってるよ。』
「私遠くにいるし、何もできないかも知れないけど何かできることがあったら言ってね。」
『ごめん。』
「何がごめんなの?頭も痛くてあなたの方が可哀想なのに・・・」
『もし逆だったら、って考えた。 僕が君の立場なら、何でもしてあげたいって思うと思うけど・・・実際できることはないから。
だから、そういうことを考えさせて悪いなと思った。』
「そんなバカなこと考えないで。・・・Bijouxはね、1人じゃないよ。私がいるよ。」
本当にそう思う。
Bijouxは1人じゃない。そして、私も1人じゃない。
お互い離れているけど、でも1人っきりじゃないんだ・・・。
早く、体調が良くなりますように。